2005/10/25 古い道具

チョウナと言う大工道具は木材の荒削りに使用される道具で、上から振り降ろして使います。道具の形状から振り降ろした時に材面を滑りやすく、滑った時に手前に向かってくるので扱いには非常に注意が必要です。写真中央は30年前に自ら材料を探して柄を取り付けて作った物で、柄の角度は刃を収めるのに大変難しい物でした。柄は主に弾力性のあるえんじゅの木を使いますが、その他に楡(にれ)の木や欅(けやき)の新芽なども使用することもあります。えんじゅの木は滑らず手汗を吸収すると言われ適しているのですが、その他にもえんじゅの木は縁起が良いと言われ、床柱などにも使用することもあります。木を曲げるには、茹でたり、蒸したりして曲げ、針金などで癖をつけさせます。その角度は微妙で、長さ約60cm、水平に置いた場合曲がりの下端で約21~23cmと言い、その人の使い勝手で違います。後は刃を仕込む角度ですが、角度は楔(くさび)の入れ方でしっかり刃物と取り合いを付けさせる事が一番大事で、これによって道具の善し悪しが決まります。

こうして30年前に作った道具、最近ではほとんど使いません。しかし、なければないで不便なものです。
30年前にこの道具を作った時には私がパソコンに向かう姿など夢にも思いませんでした。私は時々こうして使わなくなった古い道具を眺めて物思いにふけることがあるのです。

chouna.jpg

▲今ではあまり使われなくなった古い道具(左から、墨付け定規、チョウナ、オノ)